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桜染め、その想い

桜の色は、傷ついた人の心を癒してくれます。
女性をいきいきと輝かせてくれます。
人を知らず知らずのうちに笑顔にしてくれます。
身に着けた人だけでなく周りの人まで優しくしてくれます。
それは、この色が愛に満ちているからです。

夢細工の「桜染め」

桜(さくら)

花咲く前の蕾の付いた小枝を集め、約40日炊いたり冷ましたり。さらに約90日かけて熟成させ、桜の花びらのピンク色を染めていきます。

桜色を布に咲かせるこれまでの桜染めは、桜で染めているかと言えばそうではなく、一般的にはやさしい花の色を表現するのに紅花で赤く染めた布の上に白い布を重ねる“桜重ね”という手法や、茜で薄く染めたものを桜染と言っていました。つまり、桜だけで染めた“桜色”ではありませんでした。

その理由は、桜の木の染料の中にはオレンジやベージュが多く含まれていて、ピンク色だけを取り出すことが技術的に不可能だったからです。

また、昨年きれいなピンク色に染まった同じ桜の木だからと思って今年も染めると、昨年とはまったく違う色に染まることがよくあるからです。

しかし、私は何としても桜の木から桜のピンク色を染めたいという一心で試行錯誤を重ねました。まず、様々な種類の桜の木から、その樹皮や芯材、小枝、花芽、緑葉、紅葉に至るまで染料にし、それぞれの染料は、材料をいつ採取するのか、どのように抽出するのか、どのタイミングで染めるのか、すぐなのか1週間後なのか等々・・・様々な可能性を探りながら気の遠くなるほどの時間を費やして日々答えを探し求めました。

そしてついに、桜のピンクは花の咲く前の小枝の中に潜んでいることを突き止めました。

ところが、昨年はピンクに染まったからといって、同じ木の枝で染めようとしても今年はピンクに染まりません。毎年、毎年、桜の木は全く“別物”、つまり一番難しいのは、ピンクに染まる小枝を見つけることでした。

和の文化を象徴する色

ピンクに染まるとは、「若さがあって素直」であることがポイント。樹齢150年の桜でも「若さがあって素直」なものもあれば、4、5年の若木でも「若さ」も「素直さ」もない桜があります。まるで人間のようだと思うことがあります。

こうしてついに工房夢細工では、桜の花びらの優しいピンク色に染まろうとする“力”を取り出すことに日本で初めて成功したのです。できれば、何の柄もない無地のスカーフの色そのものを楽しんでいただきたいと思います。

和の文化を象徴する色 

日本では12月25日は「メリークリスマス!」、一週間すると今度は神社に初詣。結婚式ではチェペルに集い賛美歌を歌い、葬式では南無阿弥陀仏を唱えます。また、海から昇る朝日や雲をかすめる高い山があれば、その神々しさに手を合わせ、自然の森羅万象に神の発現を認めてきました。日本が世界にあまり例を見ない多神教の国と言われる由縁です。

それに対してイスラム教(アラーの神)やキリスト教を信仰する国々は、どちらも平和を祈っているのですが、なぜかそれぞれの正しさと正しさが相対すると争い事が起きてしまいます。ところが日本は、あっちも正しいがこっちも正しいと相手の言い分を認めて譲り合う“和の精神”を持っています。それを象徴する色が、実は桜の色なのです。

  • 秋月杉の馬場の桜並木
  • 夢細工「杉の馬場店」

身分制度の厳しかった江戸時代、上野のお花見には町人も武士も集まり賑わいました。お花見のときだけは無礼講がまかりとおり、今の言葉で言えば「みんな平等」、それが日本の花見文化だったようです。

桜の色は、その「平等」を表す世界観、良いものも悪いものも拒絶せず全部受け入れて、相手があなたを守ってあげたいと思わせる色です。誰の中にもある優しさや癒しの心を呼び起こして多くの人を平和に、そして平等に導くパワーをもつ色なのです。

桜で救われる人はいっぱいいますが、桜をみて怒る人は誰一人いません。桜は日本人の心を写す和の文化の象徴ではないでしょうか。

日本人の美徳や礼節を象徴する色

染めの原料という視点で見ると、ピンクという色は命の源の色です。つまり、桜でなくても杉や梅、イチジクでもその若い新芽なら皆ピンクが染まります。つまりピンクはピュアな命の輝きの色といえます。

ところが、梅の花のピンクと桜の花のピンクでは色の力がまったく違います。梅の花のピンクは人を押しのけて自己主張する力を持つのに比べ、桜のピンクは、頬をそっと桜色に染めて自らが一歩後ろに退く謙虚さを持たせてくれます。それは、日本人が何処かに置き忘れてきた品性、奥ゆかしい日本人の美徳や礼節を思い起こさせます。

母の想いが宿る色

かつて、お国のためと特攻に飛び立った若い人達が、桜の一枝を一緒に持って行ったと言われます。ある人達は、それは、パッと咲いてパッと散るから潔いからだなどと言いますが、それなら椿の方が当てはまります。しかし、誰も椿は持ちません。

桜の花のピンクには、私よりあなたを幸せにしていく、私が犠牲になってあなたを助けてあげるという母の想いが宿っています。そして、それを身に着けると、まず自分自身の心が優しくなり、次に周りの人に対して優しくなって最後にはそこにいるみんなの心が癒されていきます。だから私は世界を救う色だと思っています。

<桜ピンクの使い方>

  • 肌が色を感じて女性ホルモンが活発に 桜のピンクを身に着けているとマザコン除けになります。私を守って欲しいという人が寄って来ないからです。逆にあなたを守ってあげたいという人だけが寄ってきます。 また、ピンクを着けておねだりすると成功率もグンとアップ。良縁に恵まれるチャンスが広がります。さらにピンクは肌に直接着けることで女性ホルモンが活発に出るといわれます。肌が色を感じているからです。
  • 気持ちまで明るくするお守りのよう 桜ピンクは少しサーモン系ですから、とくに日本人の肌に似合うのが大きな特徴です。桜ピンクのスカーフを巻くと頬がほんのりピンク色に染まりきれいに見えます。 ところが、これがマゼンタ系のショッキングピンクになると、どうしても顔色が悪く見えてしまいます。だから桜ピンクは顔の側につけてもらいたい色です。ピンクのイヤリングなどを、目に近いところにちょっと使うだけでも全然違います。あなたがご病気で気持ちが弱っていたら、身に着けたり、身近に置いたり、お守りとして持っていただくことを私はおすすめします。
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